Freitag, 23. Juni 2017

唐宋千家聯珠詩格 5: 于済徳夫, 蔡正孫粹然 編[他] (和泉屋金右衛門等, 1900)

唐宋千家聯珠詩格 5: 于済徳夫, 蔡正孫粹然 編[他] (和泉屋金右衛門等, 1900)


      夜坐: 鄭有極

   江梅欺雪樹槎牙, 梅片飄零雪片斜.

   夜半和風到窓紙, 不知是雪是梅花.


 5・四句設問。前二句問答。後二句問答。首尾二句相貫。第四句貫頭両句。只今字。如今字。


聯珠詩格  5   

      四句設問格

       堪会賀蘭山主     荊公
    賀 蘭 山 上 幾 株 松      賀蘭山上 幾株の松
    南 北 東 西 有 幾 峰      南北東西 幾峰有り
    買 得 往 来 今 幾 日      買得て往き来ること 今幾日ぞ
    尋 常 誰 與 坐 従 容      尋常 誰と與にか 坐して従容する
    「増注」八尺を尋と言い、尋を倍することを常と言う。賀蘭渓は洛京地名。

        問訊李山人      于黙齋
    知 有 南 山 松 幾 株      知ぬ南山 松 幾株か有る
    入 山 射 至 幾 於 菟      山に入り 射て幾於菟にか至る
    撫 機 欲 発 又 何 日      機を撫して発せんと欲す 又何の日ぞ
    将 誰 負 弩 効 前 駆      誰を将って弩を負て 前駆を効しむべき
    「増注」於菟の音、烏徒。楚人虎を以って於菟と為す。

        寄訊魏梅望       蒙齋
    開 到 梅 花 第 幾 枝      開て梅花 第幾枝にか到る
    小 樽 酒 熟 幾 何 時      小樽 酒熟すること 幾何く時ぞ
    吟 杖 肯 過 山 齋 未      吟杖 肯て山齋を過ること未だし
    近 有 新 吟 多 少 詩      近ごろ 新吟 多少の詩有りや 
    「増注」此の詩、梅野に生ずる時蒙齋寄訊。



      前二句問答格

         先天吟         康節
    若 問 先 天 一 字 無      若し先天を問はば 一字無し
    後 天 方 用 着 工 夫      後天は方に用て 工夫を着す
    抜 山 蓋 世 称 才 力      山を抜き世を蓋すは 才力と称す
    到 此 分 毫 強 得 無      此に到りては分毫も 強て得んや無や
    「増注」下二句、言。山を抜き世を蓋すは即ち才且つ力と謂う可し。

         答山中人       太白
    問 余 何 意 棲 碧 山      余に問う 何の意ぞ碧山に棲と
    笑 而 不 答 心 自 閑      笑 而 答えず 心 自ら閑なり
    桃 下 流 水 杳 然 去      桃下流水 杳然として去る
    別 有 天 地 非 人 閒      別に天地 人閒に非ざる有り
    「増注」陶淵明が桃源記に武陵の人、流水に泝る忽ち桃花林の岸を挟むに逢う、林尽き
    水源便ち一山を得る。楊誠齋云う此れ太白が詩体。

        霊隠冷泉亭       盧野渉
    問 山 何 以 名 霊 隠      山に問う何を以って霊隠と名ずく
    山 曰 当 年 隠 許 由      山は曰く 当年 許由を隠す
    千 古 冷 泉 流 不 歇      千古 冷泉 流て歇せず
    客 來 洗 耳 莫 驚 鴎      客來て 耳を洗て 鴎を驚すこと莫れ

        送呉定夫        趙章泉
    問 君 此 去 復 何 生      君に問う 此去て復た何の生ぞ
    為 道 還 家 歳 且 更      為に道う家に還らば 歳且つ更ならんと
    四 海 九 州 参 未 遍      四海九州 参すること未だ遍らず
    來 春 更 有 靖 州 行      來春 更に靖州の行有らん
    「増注」見る可し湖海之志株を守り菟を待つ者の比に非ず。 



        後二句問答格

        観書有感        朱文公 
    半 畝 方 塘 一 鑑 開      半畝の方塘 一鑑開
    天 光 雲 影 共 徘 徊      天光 雲影 共に徘徊
    問 渠 那 得 清 如 許      渠に問う那ぞ清 許くの如なることを得たる
    為 有 源 頭 活 水 來      為に源頭の活水有りて來る
    「増注」渠は呉人、彼を呼ぶ為に去る声、東坡が詩に活水仍に須て称す。

        漁郎           劉後村
    渓 上 漁 郎 占 断 春      渓上の漁郎 春を占断す
    一 川 碧 浪 映 紅 雲      一川の碧浪 紅雲に映ず
    問 渠 定 是 神 仙 否      渠に問う定て是れ 神仙なりや否や
    櫓 去 如 飛 語 不 聞      櫓去ること飛が如く 語も聞かず
    「増注」末句隠然と屈原漁父枻を鼓く之意あり。

       清平調辞         李太白
    一 枝 紅 艶 露 凝 香       一枝の紅艶 露 香を凝らす
    雲 雨 巫 山 枉 断 腸       雲雨 巫山 枉て腸を断つ
    借 問 漢 宮 誰 得 似       借問す漢宮 誰か似たることを得たる
    可 憐 飛 燕 倚 新 粧       可憐の飛燕 新粧に倚ことを
    「増注」楚王曽て高唐に遊ぶ夢に一婦人を見る曰く妾は巫山の女也王因之を幸す。

        清明           杜牧
    清 明 時 節 雨 紛 紛       清明の時節 雨 紛紛
    路 上 行 人 欲 断 魂       路上の行人 魂を断んと欲す
    借 問 酒 家 何 處 有       借問す酒家 何れの處にか有る
    牧 童 遥 指 杏 花 村       牧童 遥に指さす 杏花の村
    「増注」即景真に逼り有声の画也。



       後二句問答又格

        連昌宮          昌黎
    夾 道 疎 槐 出 老 根       道を夾む 疎槐 老根を出す
    高 甍 巨 桷 壓 山 原       高甍 巨桷 山原を壓す
    宮 前 遺 老 來 相 問       宮前の遺老 來て相問う
    今 是 開 元 幾 葉 孫       今は是れ開元 幾く葉の孫ぞ
    「増注」隠然と今を傷み古を懐う之意有り。開元は明皇の年号葉は世也。

        孤山喚渡         潘湖隠
    吟 傍 蘇 堤 欲 暮 天       吟じて蘇堤に傍へば 暮天ならんと欲す
    孤 山 影 裏 喚 帰 船       孤山 影裏 帰船を喚ぶ
    旁 人 問 我 詩 成 未       旁人 我に問う 詩成や未やと 
    思 在 断 橋 煙 柳 辺       思は断橋 煙柳の辺に在り
    「増注」真に西湖の詩料成り西湖は断橋に有り。孤山は杭州西湖上に有り。

         答隣叟          蒙齋
    桃 李 故 園 春 寂 寂       桃李の故園 春 寂寂
    家 山 旧 事 夢 依 依       家山の旧事 夢 依依
    隣 翁 問 我 帰 來 未       隣翁 我に問う 帰來すること未やと
    纔 有 茅 蘆 我 便 帰       纔に茅蘆有れば 我便帰らん
    「増注」隣翁式微の問に因って旧巣の恋有り。会々当に吾志を遂い云うべき。
    
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       首尾二句相貫格
   
       渡桑乾       賈島
   客 舎 并 州 已 十 霜      客舎 并州 已に十霜
   帰 心 日 夜 憶 咸 陽      帰心 日夜 咸陽を憶う
   如 今 又 渡 桑 乾 水      如今 又 桑乾水を渡る
   却 指 并 州 是 故 郷      却て并州を指す 是れ故郷と
   「増注」冷齋夜話に言う賈島が詩に影略の句あり韓退之おれを喜ぶ此の詩是なり。

       贈月篷       朱聖錫
   月 掛 疎 篷 雪 未 乾      月 疎篷に掛けて雪 未だ乾かず
   古 譚 深 映 碧 蘆 寒      古譚 深く碧蘆に映じて 寒
   梅 花 開 向 群 芳 上      梅花 開いて群芳の上に向かう
   正 好 推 篷 帯 月 看      正に好し篷を推して 月を帯て看に
   「増注」景を状る句佳譚は深水也。

       再会尹祈叔    張至龍
   二 十 年 前 過 葛 川      二十年前 葛川を過ぎる
   相 逢 一 笑 老 堪 怜      相い逢て一笑 老いて怜むに堪えたり
   而 今 憶 著 当 時 事      而今 当時の事を憶著すれば
   二 十 年 前 是 少 年      二十年前 是れ少年
   「増注」葛川は揚州新城県の西に在り葛仙翁稚川此に於て丹を練る故に名。

       送祁師       翁逢年 
   去 年 風 雨 盧 山 路      去年の風雨 盧山の路
   君 送 我 行 泉 石 間      君 我が行を送る 泉石の間
   今 日 君 行 我 還 送      今日 君行きて 我還た送る
   依 前 風 雨 似 盧 山      前に依て 風雨 盧山に似たり
   「増注」前日の事に即して今日の情を写す多少の意志。



       第三句貫頭両句格
       再到洛陽      康節
   当 年 曽 是 青 春 客      当年 曽って是れ 青春の客
   今 日 重 來 白 髪 翁      今日 重て來る 白髪の翁
   今 日 当 年 成 一 世      今日 当年 一世を成す
   幾 多 興 替 在 其 中      幾多の 興替が 其中に在り
   「増注」一身の今昔を以って一世の興替と為す化を観る於を妙なる者に非ざる言うに能ず。



       第四句貫頭両句格(第四句頭両句を貫く格)

       夜坐       鄭有極
   江 梅 欺 雪 樹 槎 牙     江梅 雪を欺き 樹 槎牙
   梅 片 飄 零 雪 片 斜     梅片 飄零して 雪片は斜なり
   夜 半 和 風 到 窓 紙     夜半 風に和して 窓紙に到る
   不 知 是 雪 是 梅 花     知らず 是れ雪 是れ梅花
   「増注」梅雪に就いて一時の情致を描写する。

       梅辺酌月    蒙齋
   娟 娟 霜 月 浸 窓 沙     娟娟たる 霜月 窓沙に浸す
   一 樹 寒 梅 影 半 斜     一樹の寒梅 影半ば斜なり
   今 夜 相 逢 須 劇 飲     今夜 相い逢て 須らく劇飲すべし
   莫 教 負 月 負 梅 花     月に負け梅花に負かしむる莫れ
   「増注」杜詩に劇飲天真を見る。



       用只今字格(只今の字を用いる格)

       蘇臺       李太白
   旧 苑 荒 臺 楊 柳 新     旧苑の 荒臺 楊柳新なり
   菱 歌 春 唱 不 勝 春     菱歌 春唱て 春に勝えず
   只 今 唯 有 西 江 月     只今 唯だ西江の月あり
   曽 照 呉 王 歌 舞 人     曽って 呉王 歌舞に人を照らす
   「増注」姑蘇臺は呉県西三十里に在り闔閭山に因って臺を起こし高さ三百里を見る。

       玉澗絶句    朱文公
   独 抱 瑶 琴 過 玉 渓     独り瑶琴を抱いて 玉渓を過ぎる
   琅 然 清 夜 月 明 時     琅然たる 清夜 月明の時
   只 今 已 是 無 心 久     只今 已に是れ 無心なること久し
   却 怕 山 前 荷 気 知     却って怕るれ 山前 荷気知らんことを
   「増注」玉澗は楊州臨江軍に在り源は玉笥山より出て廻互迂曲三十六澗と号す。

        答誠齋     文公
   曽 誦 離 騒 夜 叩 船      曽って離騒を誦して 夜る船を叩く
   江 湖 満 地 水 浮 天      江湖 満地 水 天に浮ぶ
   只 今 擁 鼻 寒 窓 底      只今 鼻を擁す 寒窓の底
   爛 却 沙 頭 月 一 船      爛却す 沙頭の 月一船



        用如今字格(如今の字を用いる格)

        悵別       杜牧之
   自 恨 尋 芳 已 太 遅      自ら恨む芳を尋て 已に太だ遅きことを
   昔 年 曽 見 未 開 時      昔年 曽つて見る 未開の時
   如 今 風 擺 花 狼 藉      如今 風擺て 花 狼藉
   緑 葉 成 陰 子 満 枝      緑葉 陰を成し 子 枝に満つ
   「増注」杜牧之湖州に在り一子妹を見る愛而之を約するに十年後來るを以ってす、
   至るに及ぶ則ち十四年矣約する所之妹已に嫁して子を生む因って此の詩を為す。

       少年行      令狐楚
   少 小 辺 頭 慣 放 狂      少小 辺頭 放狂して慣れる
   驅 騎 番 馬 射 黄 羊      番馬に驅騎して黄羊を射る
   如 今 年 老 無 筋 力      如今 年老いて 筋力無く
   独 倚 営 門 数 雁 行      独り 営門に倚て 雁行を数う
   「増注」隠然として老いを嘆ずるの意。




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