唐宋千家聯珠詩格 7 : 于済徳夫, 蔡正孫粹然 編[他] (和泉屋金右衛門等, 1900)
精刊唐宋千家聯珠詩格 7 : 于済徳夫, 蔡正孫粹然 編[他] (和泉屋金右衛門等, 1900)
暮春 蒙齋
簾 東 風 捲 燕 影 斜
悠 悠 芳 草 楚 天 涯
千 紅 萬 紫 都 狼 藉
猶 有 薔 薇 落 後 花
聯珠詩格 7
用何似字格(何似字を用いる格)
白牡丹 東坡
城 西 千 葉 豈 不 好 城西の千葉 豈に好からざんや
笑 舞 東 風 酔 臉 丹 東風に笑舞して 酔臉丹し
何 似 後 堂 冰 玉 潔 何ぞ似ん後堂 冰玉の潔して
遊 蜂 非 意 不 相 干 遊蜂 非意 相干かさざるに
「増注」本集に孔密州が堂後の白牡丹を和するに作る。
琴服 王秋江
道 人 休 羨 壁 間 琴 道人 羨むことを休よ 壁間の琴
緑 服 朱 絃 遇 賞 音 緑服 朱絃 賞音に遇うことを
何 似 驛 陽 孤 絶 處 何ぞ似ん驛陽孤絶の處
飽 沾 風 露 長 清 陰 飽まで風露に沾て清陰を長せんに
「増注」詩意、琴の緑服朱絃に而して知音に遇えば驛陽孤絶の處、風に飽き露に沾い
の自得に如かずの意。
梅影 周南峰
紙 窓 窓 上 月 徘 徊 紙窓 窓上 月徘徊
印 得 窓 前 弄 影 梅 印し得たり窓前 影を弄する梅
何 似 開 窓 放 明 月 何ぞ似ん窓を開き明月を放ち
和 香 和 影 一 時 来 香に和し 影に和し 一時に来るに
「増注」此意、軒轄透して一関を打す所見あり。
用何如字格
秋意 劉参玄
惨 淡 江 城 鴈 叫 秋 惨淡たる江城 鴈 秋に叫ぶ
有 人 和 涙 倚 南 楼 人あり 涙に和して 南楼に倚る
何 如 把 酒 東 籬 下 何ぞ如かん酒を東籬の下に把って
祇 見 黄 花 不 見 愁 祇だ黄花を見て 愁を見ざるには
「増注」黄花は菊也、陶淵明が詩に菊を東籬の下に采る。
詠梅 蒙齋
京 洛 繁 華 自 昔 夸 京洛の繁華 昔より夸る
十 千 争 買 牡 丹 花 十千 争い買う 牡丹の花
何 如 満 載 詩 嚢 去 何ぞ如かん 詩嚢を満載して去り
踏 雪 前 村 売 酒 家 雪を踏んで 前村 売酒の家に
「増注」梅を説かざると雖も梅を訪うの意、自から見る。
雷公 韓致元
閑 人 倚 柱 笑 雷 公 閑人 柱に倚り 雷公を笑う
又 向 深 山 霹 怪 松 又 深山に向かい 怪松を霹す
必 若 有 蘇 天 下 意 必若 天下意を蘇す有らば
何 如 驚 起 武 侯 龍 何ぞ如かん 武侯の龍を驚起するに
「増注」孔明は臥龍雷以て蟄を驚かす可し。
用如何字格(如何の字を用いる格)
春日客舎 李頻(唐人)
識 尽 東 南 萬 里 山 東南萬里の山を識尽し
青 春 日 月 坐 鎖 難 青春の日月 坐ながら鎖すること難
如 何 別 却 故 園 後 如何ぞ故園に別却して後
五 度 花 開 五 處 看 五度 花開て五處に看る
「増注」此詩萬里行邁之勤を叙る。
西施 黄象湖
百 媚 懐 春 古 越 娥 百媚 春を懐う 古越娥
笑 中 未 必 有 干 戈 笑中 未だ必しも 干戈有らず
如 何 箇 様 身 材 小 如何ぞ箇様 身材小にして
著 得 亡 呉 恨 許 多 呉を亡す恨み許の多を著得たる
「増注」越娥二字西施を言う分暁。
子陵釣臺 成齋堂
節 義 功 名 総 不 軽 節義 功名 総て軽からず
南 宮 図 像 煥 丹 青 南宮の図像 丹青を煥かす
如 何 只 画 風 雲 将 如何ぞ只だ風雲の将を画いて
不 画 桐 江 一 客 星 桐江の一客星を画かず
「増注」楊州桐盧郡西に富春山有り一には巌陵山と名し精麗奇絶錦峰繍嶺と号す、乃漢の巌子陵
隠れ釣する處前に大江を臨み上に東西二臺有り各高さ数百丈諺に言う風七里風無く七十里葢し
舟行挽牽於りも難く惟だ風を看て以って遅速を為す故に之を七里灘と謂う亦た巌陵瀬と謂う。
用可怜字格(可怜の字を用いる格)
榴花 韓昌黎
五 月 榴 花 照 眼 明 五月 榴花 眼を照らして明かなり
枝 間 時 見 子 初 成 枝間 時に見る 子初て成るを
可 怜 此 地 無 車 馬 怜む可し 此の地 車馬無きを
顛 倒 青 苔 落 絳 英 青苔に顛倒して 絳英を落とす
「増注」格物叢話に榴花は安石国より来る故に亦石榴と名す亦海外新羅国より来る有り。
賈生 李商隠
宣 室 求 賢 訪 逐 臣 宣室 賢を求めて 逐臣を訪う
賈 生 才 調 更 無 倫 賈生が才調 更に倫無く
可 怜 夜 半 虚 前 席 怜む可し夜半 虚しく席を前して
不 問 蒼 生 問 鬼 神 蒼生を問わず 鬼神を問う
「増注」張震は言う此の詩、人君之賢を用いること能はず諷する也。
文帝 馬子才
親 屈 亜 夫 来 細 柳 親亜夫に屈して 細柳に来る
立 還 魏 尚 聴 馮 唐 立ところに魏尚を還して馮唐に聴く
可 怜 一 覚 登 天 夢 怜む可し一覚 登天の夢
不 夢 商 巌 夢 鄧 郎 商巌を夢ならず 鄧郎を夢む
「増注」此詩言う至尊を屈して親ら亜夫を労し唐言を聴く而して立ろに魏尚を貫く
是皆文帝之賢也、恨む可き所者は只弄臣を夢む。
用可惜字格(可惜の字を用いる格)
水南 張遂初
荻 花 風 起 釣 舟 寒 荻花 風起て 釣舟寒し
楓 樹 江 辺 葉 半 丹 楓樹 江辺 葉半ば丹し
可 惜 年 年 明 月 夜 惜む可し年年 明月の夜
漁 家 只 作 等 閑 看 漁家 只だ等閑の看を作す
「増注」天地間の奇観往々に山間水涯人之を得ることを為す。
僧画松 蕭大
菩 提 元 自 樹 無 何 菩提 元自 無何に樹う
画 到 精 時 墨 是 魔 画て精に到る時 墨は是れ魔
可 惜 老 禅 看 未 破 惜む可し老禅の 看て未だ破らず
淡 梢 濃 葉 苦 心 多 淡梢 濃葉 苦心多し
「増注」六祖、菩提本と樹無しと言う。魔梵語は魔羅環師言う魔羅此に殺者と言う。
用落字格(落字を用いる格)
松下 趙竹居
踏 破 蒼 苔 一 逕 封 踏破す蒼苔 一逕の封
身 如 野 鶴 倚 喬 松 身は野鶴の喬松に倚るが如く
吟 髭 捻 断 不 知 去 吟髭 捻り断て 去ることを知らず
満 面 松 花 落 晩 風 満面の松花 晩風に落ちる
「増注」杜牧が詩に一樹の黎花晩風に落ちる。
江行 趙信菴
霜 清 月 冷 鴈 信 秋 霜清 月冷かにして 鴈信の秋なり
古 今 江 流 不 尽 愁 古今の江流 不尽の愁
風 捲 蘆 花 漫 雪 浪 風 蘆花を捲いて 雪浪に漫たり
夜 深 鼓 棹 落 汀 州 夜深 棹を鼓いて 汀州に落つ
「増注」陸遊が詩に江流れ尽きず英雄の恨み。劉長卿が詩に蘆花千里雪漫漫。
晩春湖上 周葵窓
波 面 晴 風 破 晩 煙 波面の晴風 晩煙を破る
軽 寒 猶 是 牡 丹 天 軽寒 猶ほ是れ牡丹の天
正 無 情 緒 裁 春 句 正に情緒の春句を裁する無く
一 点 楊 花 落 酒 辺 一点の楊花 酒辺に落つ
「増注」字を下すの婉。真に春を送る詩料也。
圍碁 張志龍
蕭 森 風 竹 擁 虚 楼 蕭森たる風竹 虚楼を擁す
夢 遶 湘 江 六 月 秋 夢は湘江を遶る 六月の秋
忽 喜 静 中 生 動 意 忽ち喜ぶ静中に動意を生ずることを
一 声 飛 玉 落 棋 楸 一声の飛玉 棋楸に落つ
「増注」杜陽編に唐の太中中日本国の王子来朝す上百戯珍饌を設て以って礼す
焉ぞ王子圍碁を善す・・・・。
用落後字格(落後の字を用いる格)
西湖晩帰 張良臣
帖 帖 平 湖 印 晩 天 帖帖たる平湖 晩天を印す
踏 歌 遊 女 錦 聯 翩 踏歌の遊女 錦聯翩
鳳 城 半 奄 人 帰 去 鳳城 半ば奄い 人帰去る
猶 有 胡 琴 落 後 舟 猶 胡琴落後の舟あり
「増注」鳳城は長安城也、昔、秦女簫を吹く鳳、その屋に集る。因って鳳城と名ずく。
贈楊生 張志龍
楊 葉 驚 寒 已 尽 凋 楊葉 寒に驚き 已に尽く凋む
枯 條 猶 自 弄 軽 柔 枯條 猶ほ自ら 軽柔を弄す
東 風 初 触 黄 金 蕊 東風 初て触す 黄金の蕊
那 説 秋 霜 落 後 頭 那ぞ説かん秋霜 落後の頭
「増注」此詩楊生の姓に就き柳に託し喩を為し謂う人は少年の時に当り豈に衰朽
暮年に在ることを料る也。
題常楽寺 唐求
桂 冷 松 香 十 里 間 桂冷に 松香し 十里の間
殿 臺 渾 不 似 人 寰 殿臺 渾て 人寰に似ず
日 斜 回 首 江 頭 望 日斜て 首を回して 江頭を望めば
一 片 閑 雲 落 後 山 一片の閑雲 落後の山
「増注」常楽寺は楊州安吉県の西に在り呉の時建造。
暮春 蒙齋
簾 東 風 捲 燕 影 斜 簾 東風に捲て燕影斜なり
悠 悠 芳 草 楚 天 涯 悠悠たる芳草 楚天の涯
千 紅 萬 紫 都 狼 藉 千紅 萬紫 都て狼藉
猶 有 薔 薇 落 後 花 猶 薔薇 落後の花有り
「増注」花薔薇に至り紅紫皆已消歇す此に有餘不尽の意。
用如何字又格(如何の字を用いる格)
烏衣国 林古村
凄 涼 庭 院 燕 来 空 凄涼たる庭院 燕の来たること空し
不 似 公 山 鶴 有 功 公山と鶴との功有るに似ず
春 到 洛 陽 泥 更 滑 洛陽に春到りて泥更に滑かなり
如 何 營 壘 只 江 東 如何ぞ壘を營すること只だ江東なる
「増注」此詩言うは燕庭院に来て曽て鶴の秦を却する之功に如かず、也洛陽晉之旧都
而して今偏に江東を保つ故に鶴に託し以って之を傷む。
江雨 頃雲菴
夜 窓 疎 雨 不 堪 聴 夜窓 疎雨 聴くに堪えず
独 坐 寒 齋 萬 感 生 寒齋に独坐して萬感生ず
今 夜 故 人 江 上 宿 今夜 故人 江上に宿す
如 何 禁 得 打 篷 声 如何ぞ禁じ得ん 篷を打つ声に
「増注」陸遊が詩に雨孤篷を打ち酒半ば消す。
五更寒 周南峰
風 凄 露 蕭 夜 漫 漫 風凄 露蕭 夜漫漫
破 搨 欹 危 枕 未 安 破搨 欹危 枕未だ安からず
三 幅 布 衾 冰 似 冷 三幅の布衾 冰の似ごくに冷なり
如 何 遮 障 五 更 寒 如何ぞ 五更の寒を遮障せん
「増注」晩宋庚申に民間に寒は五更頭に在り之を忌む有り。
杜詩に布衾多年鐡に似て冷かなり。
精刊唐宋千家聯珠詩格. 自1至4 : 于済徳夫, 蔡正孫粹然 編[他] (和泉屋金右衛門等, 1900)
http://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1089434
精選唐宋千家聯珠詩格20卷のイメージ
http://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/2579701?tocOpened=1
精選唐宋千家聯珠詩格20卷. [1]
http://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/2562860
精選唐宋千家聯珠詩格20卷 【全号まとめ】
http://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/2562860?tocOpened=1
石九鼎の漢詩館
http://www.ccv.ne.jp/home/tohou/
石九鼎の漢詩館
http://www.ccv.ne.jp/home/tohou/r_1.htm
中山逍雀漢詩詞填詞詩余楹聯創作講座 :漢詩 詞 填詞 楹聯 創作講座
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漢詩詞創作の基本要件
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漢詩作法入門講座
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